Birdy Decanter Laboratoryでは、季節をテーマに毎月2本ずつワインをピックアップ。Birdyデキャンタによる「時短デキャンタージュ」で楽しめる変化を、ワインライターの西田恵さんにレポートしていただきます。
食欲の秋!がやってきました! 食材が豊富になってきたうえに、夏と冬が綱引しているような変わりやすい陽気の今、食べたいと思うものも、その日によって異なりますよね。そこで10月は、どんな料理にも合わせやすい、ワガママをきいてくれるオールマイティーなワインをご紹介します。料理に合わせてBIRDYで味わいを微調整すれば、1本のワインがさまざまな場で活躍してくれることまちがいなし!
Tenuta di Bibbiano
テヌータ・ディ・ビッビアーノ
Chianti Classico Montornello
キアンティ クラッシコ モントルネッロ
産地:イタリア トスカーナ
ぶどう品種: サンジョヴェーゼ
キャンティはイタリアの赤ワインでもっとも知名度が高いワインではないでしょうか。映画「ローマの休日」で、グレゴリー・ペック扮する新聞記者の部屋に置かれていたのもキャンティでした。新しい銘柄、知る人ぞ知る銘柄を見つけるのも、ワインの楽しみのひとつかもしれませんが、キャンティは歴史に磨かれ進化し続けてきた銘酒。変わり続けることで変わらないものを守りながら、いつの時代も多くの人に愛されてきたのです。
ビッビアーノのワイナリーは、キャンティ・ワインの伝統産地であるカステッリーナ・イン・キャンティ市にあります。この地ではエトルリアや古代ローマ時代からブドウが栽培されてきました。ビッビアーノのオーナー一族は 1865 年からブドウとオリーブの栽培に情熱を注ぎ、時代の先端を行くダイナミックな栽培を実現してきました。また1950年代から半世紀以上にわたり、トスカーナの伝説ともいわれる銘醸造家ジュリオ・ガンベッリがワインコンサルトを務めたことも、ビッビアーノの品質向上を担いました。ワイナリーの伝統は父から子へと受け継がれ、現在は5代目のトンマーゾ・マッロッケージ=マルツィとフェデリコ・マッロッケージ=マルツィに継承されています。
ボトルの首の黒い雄鶏:現在キャンティには、18世紀にコジモ三世が限定した区域から造られるキャンティ・クラシコと、より広域で生産されるキャンティの2種類があります。キャンティ・クラシコの目印は、黒い雄鶏(ガッロ・ネロ)の認証マーク。この黒い雄鶏には逸話があります。1208年、フィレンツェとシエナは領土争いに決着をつけるべく、夜明けを告げる鶏の鳴き声を合図に二つの都市から騎士を走らせ、出会ったところを国境に定めることにしました。フィレンツェは軍隊のシンボル黒い雄鶏を選び、前日に餌を与えないという奇策を講じました。腹をすかせた黒い雄鶏は夜明けを待たずに鳴き声を上げ、フィレンツェは大いに領土を拡大。黒い雄鶏はトスカーナのシンボルとなりました。
<Birdy デキャンタによる飲み比べ>
そのまま:ドライいちじくやプラム、赤いバラ、ミントなどの、熟した果実の甘やかな香り。プラムやイチジク、ダークチェリーなどを思わせる完熟した果実味に、ざっくりした質感のタンニンが調和した、親しみやすい味わい。
ゆっくり添わせる:熟した果実味に、湿った草や木の皮、鉄っぽいミネラルの香りが加わります。凝縮感のある果実味に適度な酸味がフレッシュさを与え、香りに感じた鉄っぽいミネラルの風味も加わり、味わいは複雑さを増してきました。
ちょい回し:香りと味わいともに、リッチな果実味だけでなく、鉄っぽいミネラル、スパイス、なめし皮、バラのドライフラワーなど、さまざまな風味が加わり、複雑で、レイヤーがこまかになってきますが、それとともに、しっかりした骨格があらわれ、全体的に贅肉を落としたような磨かれた透明感も備わってきます。
い日には煮込み料理やラグーのパスタとリッチな「そのまま」を。「ゆっくり添わせた」複雑な味わいには、薫り高いキノコや魚介類をもちいた中華料理も合いそう。個人的には、芯の強い「ちょい回し」で炭火焼のステーキを楽しみたい!
ワイン輸入元:スリーボンド貿易(株)
http://www.threebond-trading.co.jp/product/index.html
そのまま、ゆっくり添わせる、ちょい回し、グルグル回し? いろいろと試して、ご自身のお気に入りをぜひ探してみてくださいね!
Text : Megumi Nishida
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