Birdy Decanter Laboratoryでは、季節をテーマに毎月2本ずつワインをピックアップ。Birdyデキャンタによる「時短デキャンタージュ」で楽しめる変化を、ワインライターの西田恵さんにレポートしていただきます。
春は名のみの寒さが続く2月。こんな季節に恋しくなるのは、やっぱり赤ワイン。今月はボルドーとピノ・ノワールという、赤ワインの王道的なワインをご紹介します。とはいえ、ご紹介するアイテムは、歴史ある王道的なものではなく、新進気鋭の造り手のもの。新しい造り手、新しい産地を知るのもワインの大きな楽しみです。
Chateay Belle Assise Coureau
シャトー・ベル・アシーズ・クォー
Saint-Emilion Grand Cru
サンテミリオン・グラン・クリュ
産地:フランス ボルドー
ぶどう品種:メルロー 55%、カベルネ・フラン 45%
“5大シャトー”という言葉を聞いたことはありませんか?シャトー・ラトゥールやシャトー・マルゴーなど5つの超有名銘柄シャトーの総称です。この5つのシャトーは数多あるメドック地区のボルドーワイン格付けの1級に君臨します。ナポレオン3世の命により、この格付けが行われたのは1855年。パリ万博にボルドーワインを出展するためでした。審査を行ったのは、ボルドー商工会議所から依頼を受けたボルドーワインの仲買人。格付けの判断材料は当時の取引価格でした。高いワインから順に1級、2級、というわけです。この格付けは現在も有効で、唯一の例外は1973年に1級に昇格したシャトー・ムートン・ロートシルトだけ。このメドック(*1)の格付けに対して、ジロンド川の対岸に位置するサンテミリオン地区の格付けが制定されたのは1955年と比較的最近のことです。審査を行うのは生産者が主体で、こちらは10年ごとに見直しが行われます。サンテミリオン地区がかつえシンデレラワインの産地と言われたのは、歴史が古くないシャトーでも、がんばれば格付けの上位にいける可能性があるからでしょう。
今回ご紹介するシャトー・ベル・アシーズ・クォーは、歴史は19世紀に遡りますが、長い間ずっと、瓶詰めしたワインではなく樽詰めしたワインを売っていました。素晴らしい土地なのにもったいない、と目を付けたのがモナコ・グランプリでの優勝経験のある元F1ドライバー、ジャン=ピエール・ベルトワーズをはじめとするワイン愛好家の友人たち。2012年にみなでシャトーを買い取って畑や醸造設備を刷新し、若く才能あふれるワインメーカーを雇ってワイン造りをスタートさせました。まだまだ新しいシャトーなので格付け入りはしていませんが(前回の格付けは2012年でした)、これからに期待できるシャトーといえるでしょう。
1973年に晴れて一級に昇格したシャトー・ムートン・ロートシルトはラベルの絵を毎年著名なアーティストに依頼することで知られています。記念すべき73年のデザインを手掛けたのはピカソ。ラベルには、「われ1級になりぬ、かつて2級なりき、されどムートンは変わらず」というバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵の言葉が記されています。
<Birdy デキャンタによる飲み比べ>
そのまま:カシスやイチジク、パプリカ、レザーなどの渋めの香り。味わいも、カシスの果実味はぎゅっと閉じて、パプリカのようなグリーンな風味が強い、シリアスな味わいです。タンニンもちょっと強く感じます。
ゆっくり添わせる:香りが広がってきました。カシスにタバコや下草、セージなどのハーブやスパイスが加わります。味わいはカシスにプラムも加わり複雑に。乾いた土っぽさや、レザー、白コショウなどの風味も出てきました。タンニンも少しなめらかに。
ちょい回し:香りにはカカオの甘さが加わり、ふわっと華やかに広がってきました。ぎゅっと閉じていたカシスの果実味が開いてプラムのふっくらソフトな味わいに。スパイスもリコリスやナツメグなど、より甘さを感じるものが増えてきました。
炭火焼の赤身のステーキと合わせるなら、「そのまま」の、しっかりした味わいを。甘くスパイシーに開いた「ちょい回し」はピリ辛の中華料理とどうぞ。個人的には「ゆっくり添わせた」凛々しい味わいを少しクセのあるジビエと合わせたい!
ワイン輸入元:ワイン・プロスぺリテ(株)
https://www.wine-prosperite.com/
そのまま、ゆっくり添わせる、ちょい回し、グルグル回し? いろいろと試して、ご自身のお気に入りをぜひ探してみてくださいね!
Text : Megumi Nishida
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