2018/02/28Birdy Decanter Laboratory
2月のワイン / 02. ミショー ミショー・ヴィンヤード ピノ・ノワール

Birdy Decanter Laboratoryでは、季節をテーマに毎月2本ずつワインをピックアップ。Birdyデキャンタによる「時短デキャンタージュ」で楽しめる変化を、ワインライターの西田恵さんにレポートしていただきます。

 

 

春は名のみの寒さが続く2月。こんな季節に恋しくなるのは、やっぱり赤ワイン。今月はボルドーとピノ・ノワールという、赤ワインの王道的なワインをご紹介します。とはいえ、ご紹介するアイテムは、歴史ある王道的なものではなく、新進気鋭の造り手のもの。新しい造り手、新しい産地を知るのもワインの大きな楽しみです。

 

■ 2月のワイン vol.2 赤ワイン

Michaud
ミショー
2014 Michaud Vineyard Pinot Noir
ミショー・ヴィンヤード ピノ・ノワール
産地:アメリカ カリフォルニア
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%

 

 

カリフォルニアワインというと、一番に思いつくのはカベルネ・ソーヴィニヨンなどボルドー系の品種かもしれません。けれどかの地では2004年公開の映画「サイドウェイ」で紹介されたように、すぐれたピノ・ノワールもたくさん造られています。ポイントは大西洋からの冷たい海風をどれくらい受ける地形であるか、または標高が高いか。温暖な気候を好むボルドー系品種とことなり、冷涼な気候のもとで真価を発揮するピノ・ノワールに欠かせないのは、なにより適度に涼しい場所。サンフランシスコ北部のソノマと並ぶピノ・ノワールの一大産地がサンフランシスコ南部のセントラルコースト。今回ご紹介するワインはここで造られました。

 

カリフォルニアのワイン産地には、現在、政府公認のワイン指定栽培地域、AVA(American Viticultural Areas)が140弱あります。最初に制定されたのは1982年。そのわずか1年後に、今回のワインが属するシャローンAVAはできました。もともとシャローンはワイナリーの名前。このひとつのワイナリーのためだけにシャローンAVAはできたのです。なぜか?それはこの地が、石灰質土壌(カリフォルニアにはほとんどないと言われている)であることと、標高が560メートルと高いという、ほかとは大きくことなる条件だったから。シャローンワイナリーは「石灰質土壌ではいいブドウができる」と知っているブルゴーニュ出身のフランス人によって開墾されました。ここのシャルドネは1975年の有名な「パリスの審判」で並み居るフランスの銘酒を差し置き3位に入賞したほど。このシャローンで30年以上にわたり醸造長を務めたマイケル・ミショーが独立して自分のワイナリーを設立したのが、このミショーです。

 

■ 南部なのになぜ冷涼?

セントラルコーストは場所によってはメキシコが近いほど南部の産地。それなのになぜ冷涼なのでしょうか?それはカリフォルニアからメキシコのバハ・カリフォルニア半島まで南北に連なる山脈が、1800万年前の地殻変動で直角に曲がったから。山脈が東西向きになったため、アラスカからの冷たい風が直接入り込むようになったのです。シャローンAVAのあたりはモントレー湾からの風が谷伝いにピューッと吹き込みます。

 

<Birdy デキャンタによる飲み比べ>

<用語解説>
そのまま:ワインボトルからそのままグラスへ注ぐ
ゆっくり添わせる:ワインをBirdyデキャンタに注いだら、少し斜めに傾けて内側をゆっくりなぞるように一周する。
ちょい回し:ワインをBirdyデキャンタに注いだら、そうっと(←ココ大事!)1、2回、回す。

 

そのまま:少し乾いたダークチェリーや、レザーや木の皮など、フルーティーというよりどちらかというとアーシーな香り。ダークチェリーやブルーベリーなどの果実味がぎゅっと詰まった味わい。香りと同じレザーの風味やジャンシアンなどハーブの味わいも。

 

ゆっくり添わせる:ぎゅっと締まっていた香りや味わいが開いてきました。ダークチェリーのジューシーな果実味がふわっと口に広がります。白い石のようなミネラル感や、さわやかな酸味も加わり、透明感のある、キレイに調和した味わいになりました。

 

ちょい回し:香りにも酸や白い石のミネラル感が加わり、フルーツの軽快な香りが広がります。いっぽう味わいのほうは、すこしタンニンが目立つようになってきました。いったん開いた味わいが、ふたたびきゅっとした強さを持つように。

 

 

■ ワインライター西田恵のひとこと

「そのまま」のアーシーめな味わいは、根菜の煮物やチキンの照り焼きなどしっかりめの味付けの和食と一緒に。香り高く緻密な味わいの「ちょい回し」はパルミジャーノやコンテなどのチーズと合わせて。個人的には「ゆっくり添わせた」ジューシーな味わいを生ハムやサラミと一緒にゆっくり楽しみたい!

 

ワイン輸入元:未入荷
https://www.michaudvineyard.com/

 

そのまま、ゆっくり添わせる、ちょい回し、グルグル回し? いろいろと試して、ご自身のお気に入りをぜひ探してみてくださいね!

Text : Megumi Nishida

 

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