ワインは生き物。コーラや果汁ジュースとは異なり、瓶詰めされてからも少しずつ変化、進化を続ける飲み物です。だからこそ、「いつ飲むのがベストなのか?」というのは、ワインを飲むときの大きな課題。このワインは若いうちに飲むのがいいの?それとも熟成させてから飲むのがいいの……?ワイナリーの資料やワイン専門誌などには飲み頃が記載されていますが、ワインを前にしていちいち調べるのも手間ですよね。
また、つねに自分の味覚にぴったりのワインを見つけられるか、というと、それも難しいもの。こんな味かな?と期待して開けたら、どうも今ひとつ……、という場合も。
そんなときの強い味方がBirdyデキャンタ。
Birdyデキャンタならご自分の手でお好みの味わいに近づけられます。
白ワインは、まず2つのタイプに分けて考えましょう。
ひとつ目は、ソーヴィニヨン・ブランやリースリング、ゲヴュルツトラミネール、グリッロといった、アロマティックな品種を用いたワイン。これらのワインは熟成にオーク樽を使用せず、ブドウそのものの風味が凝縮していますから、Birdyデキャンタを使うことによって、果実味と酸味を引き出し、調和させることによって複雑で透明感のある味わいになります。ただし、まわし過ぎには要注意。アロマが飛んでしまいます。そっと添わせるところから始めましょう。また、もし、「料理に対してフルーツの香りが強すぎるな」と思った場合は、ちょっと多めにまわしてみてください。キリリと締まった味わいになります。
ふたつ目はオーク樽を熟成に使っているかどうか。とはいえ、オーク樽をどのくらい使っているかなんて、ボトルを見ただけではわかりませんよね。まずは色を見てみましょう。輝くような淡いホワイトゴールドや明るい麦わら色のワインは、オーク樽をあまり使っていないと考えられます。次に香り。おそらく洋ナシや白桃のさわやかな香りがするのでは? となると、これはオーク樽の影響がない、もしくは少ないワインでしょう。連載で取り上げた中では、きいろ香がこれに当てはまります。この場合は、そっとまわして果実味を引き出して楽しんでください。まわし過ぎるとせっかくの果実味が飛んでしまうので注意が必要です。
次に、見た目が照りのあるゴールドの場合。そして香り洋ナシなどの果実だけでなく、バニラやナッツなど甘い香りがあれば、これはオーク樽をしっかり使ったタイプ。グレネリーのシャルドネや、スペインのルエダがこれに当てはまります。このタイプは、グラスに注いだだけでは、オーク樽由来の甘いバニラやナッツのボリューム感ある風味が前面に出がち。これを好む人はそのままでもちろんよいのですが、もう少し果実味や酸味、白い石を思わせる鉱物感を引き出したい、という場合はそっと添わせるか、ゆっくりまわすことをおススメします。空気と触れ合うことで、酸がもたらすフレッシュさも加わり、複雑な味わいになるでしょう。
スパークリングワインをデキャンターする?と不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。ところが、何度か開催したテイスティングイベントにおいて、この組み合わせがもっとも多くのお客さまから感嘆の言葉をいただきました。まわすと泡が飛んでしまいそうですよね?1000円以下のお手頃なものだとそうかもしれません。けれど瓶内二次発酵で造った正統派のものだと、泡がよりきめ細かくなってワインの中に溶け込むのです。すると若いスパークリングワインでも、少し熟成してまろやかになったかのような味わいに変化します。ポル・ロジェがそうでした。いっぽう、もともと熟成期間の長かったロジャー・グラートは、泡が溶け込んだことによりフレッシュさが増して若々しく。ロゼのJは赤いベリーフルーツの風味が出てきてよりフルーティーになりました。
ポイントは、そうっと添わせること。あかちゃんのほっぺをなでるようにそうっと、です。炭酸ガスが苦手とおっしゃる方は、クルっとまわしてもOK。グラスのままグルグルまわすと、たんに気の抜けたワインになってしまいますが、Birdyデキャンタを使うと泡がワインにしっかり溶け込むので、気が抜けるのではなく、味わいのバランスはそのままにふくよかな口あたりになるのでおススメです。
Text : Megumi Nishida
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